
デスク周りをスッキリさせたいけれど有名なメーカーの製品は高すぎて手が出ないという悩みを抱えていませんか。Amazonなどでよく見かけるHUANUOというブランドのモニターアームが気になっている方は非常に多いはずです。
価格が3000円台からと驚くほど安いため逆に品質や耐久性に不安を感じてしまうのも無理はありません。私自身も最初は安物買いの銭失いになるのではないかと警戒していました。
しかし実際に調べてみると中国の深センに拠点を置くエルゴノミクス専門ブランドであり日本国内にも代理店が存在することがわかりました。
もちろん取り付け方や調整にはコツが必要ですしAmazonベーシックなどの高級機と比較すれば違いもあります。それでもコストパフォーマンスを考えれば非常に魅力的な選択肢であることは間違いありません。
この記事では実際に購入を検討する際に気になるどこの国の会社なのかという会社概要から具体的なガススプリングの調整方法そして壊れやすいという噂の真相まで徹底的に解説します。
- HUANUOブランドの信頼性と2025年に迫る代理店変更の影響
- ポール式やデュアルなど主要モデルの特性と選び方
- 設置後のトラブルを防ぐガススプリングとチルトの調整手順
- 競合製品と比較した際のメリットとデメリットの総評
HUANUOモニターアームの評判と製品の特徴

まずは、HUANUOというブランドが一体どのような背景を持っているのか、そして市場に出回っている主要なモデルにはどのような特徴があるのかを整理していきましょう。
単なる「安い製品」として片付けるのではなく、その設計思想や構造的なメリットを理解することで、自分の環境に合っているかどうかを正しく判断できるようになります。
HUANUOはどこの国のブランドか
Amazonのランキングなどで頻繁に見かけるHUANUOですが、名前の響きから海外製品であることは想像がつきますよね。結論から言うと、HUANUOは中国・深セン市に本社を置くオフィスエルゴノミクス製品の専門ブランドです。
深センといえば、ハードウェアのシリコンバレーとも呼ばれる世界的な製造拠点。この地で2016年頃から、人間工学に基づいた製品開発を行っている企業です。
「中国製か……」と不安に思う方もいるかもしれませんが、HUANUOは単なるコピー品メーカーではなく、「画面の中心を目の高さから17.5度下、かつ約50cm離れた位置」が最適であるといった生体力学の研究データに基づいた製品作りを掲げています。
安価でありながらも、しっかりとした設計思想を持っている点は評価できるポイントです。
国内サポートについて 日本では「株式会社行雲商事」という正規代理店が販売やサポートを担ってきました。海外ブランド特有の「サポートが受けられない」という不安を解消する重要な存在です。
ただし、ここで一つ重要な情報を共有しておく必要があります。長らく日本の窓口となっていた株式会社行雲商事とHUANUOの代理店契約が、2025年7月31日をもって終了するという公式アナウンスが出ています。これ以降のサポート体制がどうなるか、メーカー直販になるのか別の代理店が立つのかは現時点では不透明です。これから購入される方は、保証対応の窓口が将来的に変更される可能性があることを頭に入れておいたほうが良いでしょう。
初心者でも簡単な取り付け方の手順
モニターアーム導入の最大のハードルと言えば、「設置の難しさ」ではないでしょうか。
巨大なアームをデスクに取り付け、そこに大切なモニターを固定する作業は、DIYに慣れていないと少し怖じ気づいてしまいますよね。HUANUO製品の取り付け方は、モデルによって多少異なりますが、基本的な流れは共通しています。
まず、デスクの天板に「クランプ」と呼ばれる万力のようなパーツを固定します。ここが土台となるため、六角レンチを使ってしっかりと締め込む必要があります。
次に、その土台に支柱(ポール)やアーム本体を取り付けます。そして、モニターの背面に「VESAマウント」と呼ばれる金具をネジ止めし、最後にアームへモニターを合体させるという手順です。
HUANUOの製品には日本語のマニュアルが付属しており、図解も多いため、手順自体はそこまで複雑ではありません。特に人気の「HNSS32」などのモデルでは、クランプ部分にカバーを取り付けて見栄えを良くしたり、ケーブルを通しやすくしたりといった工夫も凝らされています。
設置時の注意点 部品点数が多く、アーム自体も金属製でずっしりと重みがあります。特にモニターを持ち上げてアームに差し込む工程は、女性や小柄な方一人だと少し大変かもしれません。可能であれば二人で作業するか、広いスペースを確保して慎重に行うことをおすすめします。
Amazonベーシック製品との比較
モニターアームの世界で「王道」とされるのが、エルゴトロン社のOEM製品である「Amazonベーシック」のモニターアームです。HUANUOを検討している方の多くが、このAmazonベーシックと比較して迷われているのではないでしょうか。「価格差ほどの違いがあるのか?」という疑問に、率直にお答えします。
決定的な違いは「操作の滑らかさ」と「安定感」です。Amazonベーシック(エルゴトロン)は特許技術を使っており、指一本でスーッと動いて、ピタッと止まります。まるで無重力のような操作感です。対してHUANUOは、一般的なガススプリング式を採用しています。動きは十分にスムーズですが、動き出しに少し力が要ったり、止めた後にわずかな揺れ戻しがあったりと、感触には明確な差があります。
| 比較項目 | HUANUO | Amazonベーシック |
|---|---|---|
| 実勢価格 | 3,000円〜6,000円程度 | 12,000円〜15,000円程度 |
| 操作感 | 普通(少し摩擦を感じる) | 極上(指一本でヌルヌル動く) |
| 耐久性 | メンテが必要な場合あり | 非常に高い(一生モノ) |
| おすすめな人 | コスパ重視・固定して使う | 頻繁に動かす・最高品質を求める |
結論として、「一度位置を決めたらあまり動かさない」「浮いた予算で良いキーボードやマウスを買いたい」という方には、HUANUOのコストパフォーマンスは圧倒的です。逆に、一日に何度も画面位置を変えるような作業スタイルなら、奮発してAmazonベーシックを選ぶ価値は十分にあります。
ポール式HNSS32のメリット
HUANUOのラインナップの中で、私が個人的に特に推したいのが「HNSS32」というモデルです。これはアームの根元に「ポール(支柱)」があるタイプなのですが、これが非常に理にかなった構造をしています。
一般的なガススプリングアームは、高さを上げようとするとアームの角度が急になり、結果としてモニターが手前に迫ってきてしまう(奥行きが変わってしまう)という欠点があります。しかし、ポール式であれば、アームの付け根そのものをポールの高い位置に固定できるため、奥行きを変えずに高さだけを大きく稼ぐことができるのです。これは座高が高い方や、縦置きモニターを使いたい方にとって大きなメリットです。
さらに、HNSS32はデザイン面でも優れています。低価格帯のアームはテカテカした黒いプラスチック感が出がちなのですが、このモデルは「黒寄りの落ち着いたグレー」でマットな質感に仕上げられています。ロゴも控えめで、デスク周りをおしゃれにまとめたい「デスクすっきり(Desk Setup)」派のユーザーからも評判が良いですね。
便利なデュアルアームモデルの魅力
仕事の効率を上げるために、モニターを2枚並べている方も多いでしょう。そんな時に活躍するのが、デュアルアームモデル(HNDS6など)です。1本の支柱から2本のアームが伸びている構造で、最大の利点は「デスクの接地面積を極限まで減らせる」ことです。
モニター2台分のスタンドがデスク上から消え去る快感は、一度味わうと戻れません。HUANUOのデュアルアームは左右が独立して動くタイプが主流なので、2枚を隙間なく並べることも、離して配置することも自由自在です。
導入のポイント 2枚分のモニター重量(例えば27インチ×2で10kg以上)が、デスクの一点(クランプ部分)に集中します。安価な中空構造のデスクやガラス天板などは破損のリスクがあるため、補強プレートを挟むなどの対策を強くおすすめします。
検証!HUANUOモニターアームの評判と実態

ここからは、実際に使用していく中で直面する「調整」や「トラブル」に焦点を当てていきます。検索でよく見かける「お辞儀する」「調整できない」といったネガティブな評判は本当なのか、そしてどう対処すればよいのか、深掘りしていきましょう。
ガススプリング調整のやり方とコツ
「モニターを取り付けたら、勝手にアームが跳ね上がってしまった!」「逆に、手を離すとズルズルと落ちてきてしまう……」 これは不良品ではなく、単に「ガス圧の調整」が済んでいないだけのケースがほとんどです。モニターアームは、ガスの反発力とモニターの重さを釣り合わせることで空中に静止します。出荷時の設定があなたのモニターの重さと合っているとは限らないのです。
調整方法はシンプルですが、知っておくべき重要なルールがあります。それは必ず「モニターを取り付けた状態で、アームを水平にして行う」こと。モニターが付いていない状態で調整ネジを回しても、負荷がかかっていないため正しく調整できませんし、アームが勢いよく跳ね上がって危険です。
- モニターが勝手に上がる場合: ガス圧が強すぎます。関節部にある調整ボルトを六角レンチで「-(マイナス)」方向に回して圧を弱めます。
- モニターが勝手に下がる場合: ガス圧が弱すぎます。調整ボルトを「+(プラス)」方向に回して圧を強め、持ち上げる力を足します。
この調整を行うことで、任意の位置でピタッと止まるようになります。
画面が下がるお辞儀現象への対処法
HUANUO製品の評判で時折見かけるのが、「モニターがお辞儀してしまう(画面が下を向いてしまう)」という現象です。これはアームの昇降ではなく、モニターの角度を変える「チルト機能」の部分で発生します。
高級機では摩擦を一定に保つ特殊なワッシャーなどが使われていますが、低価格帯の製品では単純なボルト締めによる摩擦固定であることが多いです。そのため、モニターを上下に動かす動作を繰り返すと、その回転力がボルトに伝わって徐々に緩んでしまうことがあるのです。
解決策 モニターがお辞儀をしてしまう場合は、モニター首元の側面にあるボルトを六角レンチで「増し締め」してください。特に曲面モニターや厚みのあるモニターは重心が前にあるため、お辞儀しやすくなります。ここは「一度締めたら終わり」ではなく、定期的なメンテナンスが必要な箇所だと割り切って付き合うのが、この価格帯の製品をうまく使うコツです。
壊れやすい?耐久性に関する真実
「3000円のアームなんて、すぐ壊れるんじゃないの?」という懸念についても触れておきましょう。私の経験や多くのユーザーレビューを総合すると、「アームそのものが折れたり、ガスが抜けて使えなくなったりするケースは稀」だと言えます。
本体は頑丈な金属と樹脂で作られており、構造自体は非常にシンプルです。通常使用の範囲内で壊れることはまずありません。ただし、前述したように「可動部のネジが緩む」ことはあります。これを「壊れた」と捉えるか、「調整が必要なだけ」と捉えるかで評価は分かれます。
また、プラスチック製のケーブルカバーなどは、無理に力を入れると爪が折れやすい箇所でもあります。組み立てや配線整理の際は、力任せに作業せず、構造を確認しながら優しく扱うことが長持ちさせる秘訣です。
VESA規格や対応天板厚さの注意点
購入前に絶対に確認しておかなければならないのが、「自分の環境に取り付けられるか」という点です。ここを間違うと、せっかく届いてもただの金属の塊になってしまいます。
まずはモニター側。背面にネジ穴が4つ開いているか確認してください。これは「VESA規格」と呼ばれるもので、一般的には75mm×75mmまたは100mm×100mmの間隔で穴が開いています。最近のモニターならほぼ対応していますが、一部のデザイン重視の薄型モニターやスタンド一体型PCなどは対応していない場合があるので注意が必要です。
次にデスク側。クランプを取り付けるための天板の厚さと奥行きを確認しましょう。HUANUO製品の多くは、厚さ10mm〜100mm程度の天板に対応していますが、デスクの裏側に補強のフレーム(梁)が通っていると、クランプが奥まで入らず固定できないことがあります。クランプを噛ませるための平らなスペースが十分にあるか、事前にメジャーで測っておくことを強く推奨します。
総括:HUANUOモニターアームの評判
ここまでHUANUOモニターアームについて、良い点も悪い点も包み隠さず解説してきました。最後に総括として、この製品は「買い」なのかを整理します。
結論として、HUANUOは「初めてモニターアームを導入する人」「コストパフォーマンスを最優先する人」にとっては、間違いなく最強の選択肢の一つです。3,000円〜という価格で、デスクの上が広くなり、肩こりが軽減されるというモニターアームの恩恵を十分に享受できるからです。「50点満点で合格」と評されるように、高級品のような感動的な操作感はありませんが、実用品として必要十分な機能は備わっています。
一方で、「指一本で動かしたい」「一切のメンテナンスをしたくない」「一生モノが欲しい」という方は、予算を3倍〜4倍出してでもエルゴトロンなどの高級機を選ぶべきです。自分の重視するポイントが「価格」なのか「品質」なのかを見極めることが、満足度の高い買い物をするための鍵となるでしょう。
モニターアーム導入による作業環境の改善効果は絶大です。ぜひ、あなたのデスク環境に合った一台を見つけて、快適なPCライフを手に入れてください。
記事のまとめ
- HUANUOは中国深センのエルゴノミクス専門ブランド。
- 国内代理店の契約が2025年7月で終了するため、今後のサポート体制には注意が必要。
- Amazonベーシック等の高級機と比較すると操作感に差はあるが、コスパは圧倒的。
- 「お辞儀」などのトラブルは、六角レンチでの適切な調整で解決できることが多い。