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USBが切断と再接続を繰り返す!原因とWindows11対応の直し方

PCを使って作業をしているときやゲームに熱中している最中に、突然「ポローン、ポローン」というUSBの抜き差し音が鳴り響く現象に悩まされていませんか。マウスが急に動かなくなったり、外付けHDDのフォルダが開けなくなったりすると、作業の手が止まってしまい本当に困りますよね。私自身も以前、大事なデータの転送中にこの現象が起きて冷や汗をかいた経験があります。

この「USBが切断と再接続を繰り返す」というトラブルは、実はケーブルの故障だけが原因ではありません。Windows11などのOS設定や電力供給の問題、さらには静電気といった意外な要因が複雑に絡み合っていることが多いのです。一見すると故障のように思える症状でも、設定を見直すだけであっさりと解決することも珍しくありません。

この記事では、長年PCトラブルと向き合ってきた私の経験と調査に基づき、この厄介な再接続ループの原因を突き止め、確実に解決するための手順をわかりやすく解説していきます。難しい専門用語はできるだけ噛み砕いてお話ししますので、パソコンに詳しくない方でも安心して読み進めてください。

  • 切断と再接続を繰り返す「再接続ループ」が発生する本当の原因
  • Windowsの省電力機能が引き起こすUSBトラブルの対処法
  • 外付けHDDやマウスなど機器別の具体的な解決アプローチ
  • 物理的な電力不足や静電気対策によるシステムの安定化手順

USBが切断と再接続を繰り返す主な原因と症状

「ケーブルを挿し直せば直るだろう」と思っても、すぐにまた「ポローン」と鳴り出すのがこのトラブルの厄介なところです。実は、この現象の背後には、ハードウェアの物理的な問題からOSの内部設定まで、様々な要因が隠れています。まずは、ご自身の環境で何が起きているのか、その原因を切り分けていきましょう。

Windows11等の省電力機能が原因のケース

意外かもしれませんが、最も多い原因の一つが「Windowsの過剰な省エネ機能」です。Windows 10やWindows 11には、消費電力を抑えるために、しばらく使用していないUSBポートへの給電を自動的にストップする機能が備わっています。

本来であれば便利な機能なのですが、これが裏目に出ることがあります。例えば、マウスやキーボードを一瞬操作しなかっただけでOSが「使っていない」と判断して電源を切り、ユーザーが操作した瞬間に慌てて電源を入れ直す、という動作をしてしまうのです。

ここがポイント

この「切って、入れて」の動作が、ユーザーには「切断と再接続の繰り返し」として認識されます。特にOSのアップデート(23H2や24H2など)の直後に発生しやすい傾向があります。

また、「USBセレクティブサスペンド」という機能が誤作動を起こしているケースも非常に多いですね。デバイス側が「まだ使っていますよ」という信号を送っているのに、OS側がそれを無視して強制的にスリープさせようとして、喧嘩状態になってしまっているイメージです。

外付けHDDの電力不足や接触不良の可能性

外付けHDD(ハードディスク)を使用している場合に頻発するのが、「電力供給不足」による再接続ループです。特に、ACアダプターを使わずにUSBケーブル一本で接続する「バスパワー駆動」のHDDでよく起こります。

HDDは、内部のディスク(プラッター)が回転し始める瞬間に、通常よりも大きな電流(サージ電流)を必要とします。しかし、PCのUSBポートから供給できる電力には限界があります(USB 2.0で500mA、3.0で900mAなど)。

もし、HDDが回転しようとした瞬間に必要な電力が足りないと、電圧が急激に低下し、HDDの電源が落ちてしまいます。すると回転が止まって消費電力が下がり、再び電圧が戻って接続される……という負のループに陥るのです。

異音に注意!

HDDから「カチカチ」「カタカタ」という音が聞こえながら接続が切れる場合は、電力不足か、あるいはHDD自体の物理的な故障の可能性があります。無理に通電を続けるとデータが破損する恐れがあるため、すぐに取り外してください。

また、長年使っているACアダプターの場合、見た目は綺麗でも内部のコンデンサが劣化していて、安定した電気を送れなくなっていることもあります。これも見落としがちなポイントですね。

マウス操作やゲーム中に接続が切れる症状

FPSなどのゲームをプレイしている最中や、マウスを激しく動かした瞬間に「プチッ」と接続が切れる現象。これはゲーマーにとっては致命的ですよね。これには、最近の高性能なマウス特有の事情が関係していることがあります。

最近のゲーミングマウスは「ポーリングレート」が高く、1秒間に1000回〜8000回もの信号をPCに送っています。しかし、PC側の処理が追いつかなかったり、マザーボードのUSBコントローラーがその大量の信号を処理しきれなかったりすると、オーバーフローを起こして一時的に接続を見失うことがあるのです。

特に、AMD Ryzenプロセッサ(3000/5000シリーズなど)と特定のマザーボード(500シリーズ)の組み合わせでは、過去に「PCIe Gen 4」の信号ノイズがUSB接続に干渉するという不具合が報告されていました。これについてはBIOSのアップデートで改善されることが多いですが、環境によってはまだ影響が残っている場合があります。

接続音がうるさい場合の通知音設定の変更

原因を探っている間も、絶えず鳴り続ける「ポローン、ポローン」という音。これを聞き続けるだけでストレスが溜まってしまいますよね。根本的な解決ではありませんが、精神衛生上の応急処置として、この音だけを消してしまうのも一つの手です。

Windowsの「サウンド設定」から、デバイスの接続・切断時のシステム音を「なし」に設定することで、音だけは消すことができます。

あくまで一時しのぎです

音を消しても、内部での切断・再接続は続いています。ファイルの転送エラーや入力遅延は直らないので、音が消えたからといって放置せず、必ず後述する対処法を試してください。

静電気やケーブル断線による物理的な障害

冬場などの乾燥した時期に多いのが、静電気(ESD)による誤作動です。人間が帯電した状態でPCや周辺機器に触れると、USBポートを通じて放電が起き、そのショックでUSBコントローラーが一時的にリセットされてしまうことがあります。

また、「たかがケーブル」と侮ってはいけません。安価なUSBケーブルや、長すぎるケーブルを使っていると、抵抗値が高くなって電圧降下(Vdrop)を引き起こします。正常につながっているように見えても、ケーブル内部で断線しかかっている場合、少しデスクが揺れただけで接続が途切れることもあります。

特に、コネクタの根元部分は断線しやすい箇所です。ここを指で軽く動かしてみて接続が切れるようなら、十中八九ケーブルの物理的な故障と言えるでしょう。

USBの切断と再接続を繰り返す際の有効な対処法

原因の全体像が見えてきたところで、ここからは具体的な解決策を実践していきましょう。まずはリスクが少なく、効果が高いソフトウェア(設定)の変更から行い、それでも改善しない場合にハードウェアの対策を行うのが鉄則です。

電源オプションのセレクティブサスペンドを無効化

まずは、前述したWindowsの「お節介な省エネ機能」をオフにします。これはデスクトップPC、ノートPC問わず、最初に試すべき最も効果的な対処法です。

手順 操作内容
1 Windowsキーを押し、「コントロールパネル」と入力して開きます。
2 「ハードウェアとサウンド」→「電源オプション」をクリックします。
3 現在選択されているプランの横にある「プラン設定の変更」をクリックします。
4 「詳細な電源設定の変更」をクリックします。
5 リストから「USB設定」→「USBのセレクティブサスペンドの設定」を展開します。
6 設定を「無効」に変更し、「適用」ボタンを押します。

この設定を行うことで、OSが勝手にUSBポートへの給電を止めることがなくなります。「これだけで直った!」という声も非常に多い設定ですので、ぜひ確認してみてください。

デバイスマネージャーで電力の節約設定を解除

コントロールパネルの設定だけでなく、デバイスドライバー個別の設定も確認する必要があります。ここにも隠れた省電力設定が存在するからです。

スタートボタンを右クリックし、「デバイスマネージャー」を開いてください。「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」という項目を展開すると、「USB Root Hub」や「Generic USB Hub」といった項目が並んでいます。

これらを一つずつ右クリックし、「プロパティ」を開きます。「電源の管理」タブがある場合、そこをクリックしてみてください。そこに「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」というチェックボックスがありませんか?

チェックを外しましょう

このチェックが入っていると、Windowsがドライバレベルで電源を切ってしまいます。すべてのUSBハブ項目で、このチェックを外して「OK」を押してください。これにより、常時安定した電力が供給されるようになります。

高速スタートアップを無効にして再起動する

Windows 8以降に導入された「高速スタートアップ」機能。これは起動を速くするために、システムの状態を保存(ハイバネーション)してからシャットダウンする機能です。しかし、もしUSBドライバが不安定な状態でシャットダウンすると、次回の起動時も「不安定な状態」をそのまま復元してしまいます。

つまり、いくら再起動してもバグが直らない状態が続くのです。これをリセットするには、「完全なシャットダウン」を行う必要があります。

手っ取り早い方法は、キーボードの「Shiftキー」を押しながら「シャットダウン」をクリックすることです。これで一時的に高速スタートアップが無効になり、完全に電源が落ちます。次回起動時にドライバがゼロから読み込まれるため、トラブルが解消されることがあります。

恒久的に無効にする場合は、コントロールパネルの「電源ボタンの動作を選択する」から、「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外しておくと良いでしょう。

セルフパワーハブで電力供給を安定させる

設定を見直しても直らない場合、特に外付けHDDやオーディオインターフェースなどで問題が起きているなら、「物理的な電力不足」を疑うべきです。PCのマザーボードからの給電能力には限界があるためです。

ここで最強の解決策となるのが、「セルフパワータイプのUSBハブ」の導入です。

  • バスパワー: PCのUSBポートからの電力だけで動く(コンセント不要)。手軽だが電力不足になりやすい。
  • セルフパワー: ACアダプターをコンセントに挿して電力を供給する。PCの電力に依存せず、安定して5Vを供給できる。

ACアダプター付きのUSBハブを間に挟むことで、PC本体の電源回路を経由せずに、安定した電気をデバイスに送ることができます。これにより、電圧降下による切断ループを劇的に改善できる可能性があります。私自身、多くの相談を受けてきましたが、最終的にこれで解決したケースが圧倒的に多いです。

ドライバーの再インストールと更新手順

ソフトウェア的な不具合の最終手段として、USBコントローラーのドライバーを入れ直す方法があります。

デバイスマネージャーで「Intel(R) USB 3.0 eXtensible Host Controller」や「AMD USB 3.10...」といった名前のコントローラーを右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。ここで「PCが操作できなくなるのでは?」と不安になるかもしれませんが、安心してください。マウスが動かなくなっても、PC本体の電源ボタンで強制終了し、再起動すればWindowsが自動的に正しいドライバーを再インストールしてくれます。

また、AMD製のCPU(Ryzen)を使用している方は、マザーボードの「チップセットドライバー」を最新にすることも重要です。初期のRyzen環境ではUSB接続の問題が多発していましたが、AMD公式が配布している更新プログラム(AGESAアップデートを含むBIOS更新やチップセットドライバ)を適用することで、信号の安定性が向上することが確認されています。

USBが切断と再接続を繰り返す問題のまとめ

「ポローン」という音が繰り返される現象は、単なる接触不良と思われがちですが、実はWindowsの省電力設定やハードウェアの電力事情が深く関わっています。最後に、対処法の優先順位を整理しておきましょう。

解決へのステップ

  1. まずは「USBセレクティブサスペンド」を無効にする。
  2. デバイスマネージャーで「電源オフの許可」のチェックを外す。
  3. 「完全シャットダウン」(Shift+シャットダウン)を試す。
  4. それでもダメなら「セルフパワーUSBハブ」を導入する。

多くの場合は、設定の見直しだけで改善します。しかし、それでも直らない場合は、PC本体の電源供給能力が限界を迎えているサインかもしれません。その場合は迷わずセルフパワーハブを試してみてください。快適なPC環境を取り戻して、ストレスのない作業やゲームを楽しめるようになることを願っています。

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