
ウィッグの持ち運びケースを100均で探しているあなたへ。イベントや撮影会に向けて準備をする中で、専用のケースは高くて手が出ないけれど大切なウィッグを型崩れさせずに運びたいという悩みはよくわかります。
実はダイソーやセリアなどの身近なショップにあるアイテムを賢く代用することで、驚くほど安く安全に保管する方法があるのをご存知でしょうか。
この記事ではショートスタイルの造形維持からロングウィッグを絡ませずに綺麗に保つコツまで、私の経験に基づいた具体的なノウハウを詳しくお話しします。
- 100均アイテムを活用してウィッグ搬送コストを劇的に下げる方法
- 造形ウィッグを型崩れさせずに運ぶための具体的なDIYテクニック
- ロングウィッグの絡まりや静電気を防ぐための裏技的な収納術
- 出先でのウィッグ管理を楽にする便利グッズとその活用法
ウィッグの持ち運びケースは100均で代用できるか

結論から言うと、ウィッグの持ち運びケースは100均アイテムで十分に代用可能です。むしろ、用途に合わせてカスタマイズできる分、既製品よりも使い勝手が良いことさえあります。
通常、メーカー製のウィッグ専用キャリーケースやバッグを購入しようとすると、安くても3,000円、しっかりしたものだと5,000円近くかかってしまいますよね。私たちのように複数のキャラクターや衣装を扱う場合、ウィッグごとにそんな高価なケースを用意していたら、あっという間にお金がなくなってしまいます。
そこで注目したいのが、100円ショップの収納用品が持つ「ポテンシャル」です。
100均には様々なサイズ、素材、形状のケースが溢れています。これらを「ウィッグを入れるもの」という視点で見直すと、実は理にかなった搬送・保管ソリューションが見えてくるのです。ここでは、特に造形ウィッグなどの「形を崩したくない」場合に役立つ、ハードケース運用の極意を紹介します。
ダイソーのシューズボックスが最強な理由
私がこれまでの経験の中で「これは発明だ」と確信したのが、ダイソーなどの100均で売られているシューズボックス(シューズケース)をウィッグケースとして使う方法です。
特に男性用サイズとして売られている少し大きめのものが、ショートからミディアム程度の長さで、かつワックスでしっかりセットした造形ウィッグを入れるのにジャストサイズなんですよね。
- 剛性が高い(ハードシェル効果): ポリプロピレン製の硬い素材でできているため、満員電車やイベント会場への搬入時など、外から圧力がかかっても中のウィッグが潰れません。袋に入れて運ぶのとは安心感が段違いです。
- 積み重ね(スタッキング)が可能: 元々靴を収納するためのものなので、積み重ねて保管できるように設計されています。自宅でウィッグを保管する際も、棚にスッキリ収まりますし、イベント会場へ車で運ぶ際も荷崩れしにくいのが大きなメリットです。
- コストパフォーマンス: 1つ100円〜200円程度で購入できます。これならウィッグが増えるたびに気軽に買い足せますよね。
使い方も非常にシンプルです。ウィッグを裏返さず、セットしたそのままの状態でボックスに入れます。このとき、ウィッグの頭の部分(キャップの内側)に、購入時に入っていた薄葉紙(丸めた紙)や新聞紙を詰めておくのがポイントです。これにより、ウィッグ自体の重みでトップがぺしゃんこになるのを防げます。
「たかが靴箱」と侮るなかれ。このハードな殻(シェル)でウィッグを守るという発想こそが、安価にプロ並みの搬送環境を作る第一歩なのです。
セリアのコンテナでヘッドマネキンを固定
「絶対に1ミリも崩したくない!」という気合の入った造形ウィッグや、重力に逆らうようなツンツンヘアの場合、ウィッグ単体で箱に入れるだけでは不安が残りますよね。
そんなときは、ヘッドマネキン(発泡スチロール製の頭部模型)に被せたまま運ぶのが物理的に最強の安全策です。
しかし、マネキンごと運ぶとなると嵩張りますし、何より箱の中でマネキンが転がってしまっては元も子もありません。
そこで活躍するのが、セリアなどで手に入る「深型のプラスチックコンテナ」や「ランドリーバスケット」と、面ファスナー(マジックテープ)を組み合わせたDIYテクニックです。
具体的な手順は以下の通りです。
- 適切なサイズの箱を用意する: ヘッドマネキンとウィッグの高さが収まる、深めのコンテナや蓋つきボックスを100均で探します。300円〜500円商品のラインナップにある大型ボックスが狙い目です。
- 底面を固定する: ここが重要です。ヘッドマネキンの底と、コンテナの底の真ん中に、強力な両面テープ付きの面ファスナーを貼り付けます。
- 揺れ対策を行う: さらに安定させたい場合は、L字型のブックスタンドをコンテナ内に強力テープで固定し、マネキンの首元を支えるように配置します。
このシステムを作ってしまえば、箱を少々傾けてもマネキンは底面にしっかり固定されているため、ウィッグが壁にぶつかることがありません。まるで専用の輸送ポッドのような安定感を、数百円の材料費で実現できるのです。
確かに荷物は大きくなってしまいますが、現地で数十分かけてセットを直す手間とストレスを考えれば、この「要塞」のような搬送方法は非常に合理的だと私は思います。
セット済みウィッグを守る隙間埋め術
ハードケースを使っても、中のウィッグが動いてしまっては意味がありません。
輸送中の振動や慣性でウィッグがケースの内壁に激突し、苦労して作った毛束が折れてしまう……なんて悲劇は避けたいものです。
そこで重要になるのが「緩衝材による隙間埋め」です。ここでも100均アイテムが活躍します。
基本は新聞紙を丸めて隙間に詰めるだけで十分ですが、私がおすすめしたいのは「エアクッション(プチプチ)」の活用です。新聞紙だと、湿気を含んだ時にインクがウィッグに移ったり、紙の摩擦でウィッグの表面が毛羽立ったりするリスクがゼロではありません。
エアクッションなら、その心配はありませんし、より優しく衝撃を吸収してくれます。100均の梱包材売り場に行けば、大きなロールやシート状のものが売られています。
このように、単に箱に入れるだけでなく、「ウィッグが動かないように空間を埋める」というひと手間を加えることが、プロ顔負けの綺麗な状態を維持する秘訣です。
100均のウィッグスタンド活用法
目的地に着いた後、ウィッグの置き場所に困ったことはありませんか?
更衣室の狭いテーブルや、ホテルのベッドの上にウィッグを直置きするのは避けたいところ。
セットが潰れてしまいますし、何より衛生面も気になります。かといって、嵩張るマネキンヘッドを何個も持っていくのは大変です。
ここで大活躍するのが、ダイソーやセリアで販売されている「組み立て式ウィッグスタンド」です。
数年前までは専門店で1,000円前後で売られていたものとほぼ同じ構造のものが、今は110円で手に入ります。これは本当に革命的だと思います。2枚のプラスチック板をクロスさせて組み立てるタイプで、使わないときは完全にフラット(板状)になります。
これなら、ファイルケースやバッグの隙間にスッと入れて持ち運べますよね。搬送負荷はほぼゼロです。
また、もし専用スタンドが売り切れていたとしても、100均のキッチン用品や園芸用品で代用スタンドを自作することも可能です。
| 構成アイテム | 作り方と特徴 |
|---|---|
| バナナスタンド + ザル | バナナスタンドのフックに、プラスチック製のザルを裏返して引っ掛けます。高さが出るので、少し長めのウィッグでも毛先が床につきません。通気性も抜群です。 |
| キッチンペーパースタンド + ザル | 棒状のスタンドの上にザルを被せてヘッド部分にします。安定感があり、安価に作れます。 |
| 500ml〜2Lペットボトル + タオル | 究極の現地調達術です。水を入れたペットボトルの上部にタオルを巻きつけて頭の大きさにします。緊急時にはこれで十分対応できます。 |
現地でウィッグを外した後、汗を飛ばして乾燥させるためにも、こうしたスタンドは必須アイテムです。100均なら複数個買ってもお財布に優しいので、キャラごとに用意しておくことを強くおすすめします。
湿気やカビを防ぐシリカゲルの使い方
日本の夏、特にコミックマーケットなどのイベント会場や、野外での撮影は過酷です。汗をかいたり、突然の雨に見舞われたりして、ウィッグが湿気を含んでしまうことは日常茶飯事です。
湿気を含んだまま密閉されたケースに保管すると、どうなるでしょうか? 答えはシンプル、「カビ」と「悪臭」の発生です。また、湿気はスタイリング剤の保持力を弱め、せっかくのカールや立ち上げをへたらせてしまう原因にもなります。
そこで投入すべきアイテムが、100均の食品コーナーや靴用品コーナーにある「シリカゲル(乾燥剤)」です。
これを搬送ケースの中に1〜2個、ポンと入れておくだけです。たったこれだけで、ケース内の湿度をコントロールし、ウィッグをダメージから守ることができます。特に長期保管する場合や、夏場のイベント帰りには必須のアイテムと言えます。
「ケース」というハード面だけでなく、こうした「環境制御」のための消耗品まで100均で揃うのが、この戦略の素晴らしいところですね。
種類別ウィッグの持ち運びケースを100均で作る

ここまでは「形を崩したくない」造形ウィッグの話を中心にしてきましたが、ここからは「絡まり」が最大の敵となるロングウィッグや、持ち物をコンパクトにしたい場合のテクニックについて解説します。
ロングウィッグの場合、立体的に保護するよりも「いかに平らに、動かさずに運ぶか」が勝負の分かれ目となります。
ロングはA4ファイルケースで絡まり防止
腰まであるようなロングウィッグを運ぶ際、私が最も信頼しているのが「A4ファイルケース(ハードタイプ)」です。書類を挟んでパチンと留める、厚みのあるプラスチック製のケースです。
「えっ、あんな薄いものに?」と思われるかもしれませんが、これこそがロングウィッグ搬送の最適解の一つなのです。
- 平面固定による絡まり防止: ケースの厚みが限られているため、ウィッグが適度に挟み込まれ、中で暴れることがありません。ロングウィッグが絡まる最大の原因は、移動中の振動で毛束が動き回り、摩擦が起きることです。物理的に動けなくすることで、このリスクを遮断します。
- 完全防備: ハードケースなので、カバンの中で他の荷物に押しつぶされる心配がありません。また、密閉性が高いため、雨やホコリからも完璧に守ってくれます。
- 本棚に収納可能: 自宅での保管時も、本のように立てて並べることができます。ラベルを背表紙に貼っておけば、どのキャラのウィッグか一目瞭然です。
収納する際は、ウィッグを綺麗にブラッシングした後、円を描くように優しく巻いて入れるか、あるいは長さを活かして折りたたむように収納します。この「ペタンコにして運ぶ」という発想が、ロングウィッグの寿命を延ばします。
圧縮袋とジップロックの正しい使い方
遠征などで荷物を極限まで減らしたい時は、やはり「圧縮袋」や「スライダー付き保存袋(フリーザーバッグ等)」が便利です。
ただし、ここには大きな落とし穴があります。それは「圧縮しすぎによる変な癖(Kinks)」です。掃除機で空気を抜くタイプの圧縮袋でカチカチになるまで圧縮してしまうと、ウィッグの繊維が折れ曲がり、アイロンを使っても直らないような頑固な癖がついてしまうことがあります。
空気は抜きすぎない、が鉄則です。
手で優しく空気を押し出し、ウィッグが袋の中で動かない程度に固定されれば十分です。特にカールがかかっているウィッグの場合、強く圧縮するとカールが伸びたり潰れたりしてしまうので、袋には余裕を持たせるようにしましょう。
また、ウィッグには必ず購入時に付属していた「保護ネット」を被せてから袋に入れてください。これがあるだけで、袋への出し入れ時の摩擦が減り、毛先の飛び出しを防げます。
絡まないためのヘアクリップ固定テク
ロングウィッグを袋やケースに入れる前に行う、ちょっとしたひと手間。これをするかしないかで、現地でウィッグを取り出した時の絶望感が全く違います。
それは、100均のヘアクリップを使った「バンドル・セグメンテーション法(小分け固定)」です。
ロングウィッグをそのまま収納すると、どうしても内部で毛束同士が絡み合ってしまいます。そこで、収納前に以下の手順を行います。
- ウィッグ全体を丁寧にブラッシングし、絡まりをゼロにする。
- 毛束を左右、あるいは後ろ髪を含めて3つ程度にざっくり分ける。
- それぞれの毛束を、100均の「ダッカール」や「バンスクリップ」で、数カ所(根元・中間・毛先など)軽く留める。
こうして毛束を「拘束」しておくことで、繊維が自由勝手に動くのを防ぎます。現地で着用する際は、クリップを外すだけ。サラサラの状態が維持されており、すぐに撮影に入れます。
ゴムで縛る方法もありますが、ゴムだと「結び癖」がついてしまうことがあります。クリップなら跡がつきにくく、着脱も一瞬です。このテクニックは、特に超ロングのキャラクターをやる際には必須ですよ。
静電気を防ぐ不織布袋のメリット
プラスチックケースやビニール袋を使う際、どうしても避けられないのが「静電気」です。冬場の乾燥した時期などは、袋から出した瞬間にウィッグが逆立ってしまい、顔に張り付いて大変なことになった経験はありませんか?
この問題を解決するのが、「不織布(ふしょくふ)」です。
100均のラッピングコーナーや衣類収納コーナーに行くと、不織布の袋がたくさん売られています。ウィッグを直接プラスチックケースに入れるのではなく、一度この不織布の袋に入れてから収納してみてください。
化学繊維であるウィッグと、同じく化学製品であるプラスチックケースが直接擦れ合うと、強力な静電気が発生します。間に通気性の良い不織布を挟むことで、この摩擦を緩和し、静電気の発生を大幅に抑えることができるのです。
また、不織布は適度な通気性があるため、湿気がこもりにくいというメリットもあります。「ビニール袋より不織布袋」。これを意識するだけで、ウィッグのコンディションは格段に良くなります。
部分用ウィッグはメッシュケースへ
バンス(クリップ式のポニーテール)や、前髪パーツ、エクステンションなどの「部分ウィッグ」。これらをフルウィッグと同じ大きなケースに入れるのはスペースの無駄ですし、行方不明になりがちです。
こうした小物類には、100均の文具売り場やトラベル用品売り場にある「ファスナー付きメッシュケース」が最適です。
メッシュケースの良いところは以下の3点です。
- 中身が見える: どのパーツが入っているか一目瞭然で、準備の際に迷いません。
- 通気性が良い: 湿気がこもらず、カビや臭いを防げます。
- サイズが豊富: エクステ用にA5サイズ、前髪用にB6サイズなど、大きさを使い分けられます。
また、長いエクステンションを持ち運ぶ裏技として、「パスタケース」や「空になった綿棒ケース」を使う方法もあります。エクステをくるくるとねじりながら筒状のケースに収納すれば、絶対に折れ曲がることなく、コンパクトに持ち運べます。これも100均ならではのアイデア活用術ですね。
ウィッグの持ち運びケースは100均で十分
ここまでご紹介してきた通り、ウィッグの持ち運びや保管において、高価な専用ケースが必ずしも必要というわけではありません。
重要なのは、そのウィッグが「立体的な保護を必要とする造形ウィッグ」なのか、それとも「絡まり防止を優先すべきロングウィッグ」なのかを見極め、それぞれの特性に合った100均アイテムを選ぶことです。
- 造形・ショート:ダイソーのシューズボックスなどのハードケース+新聞紙・エアクッション
- ロング・ストレート:A4ファイルケース+ヘアクリップ固定
- 環境対策:不織布袋+シリカゲル
これらの道具はすべて、数百円で揃います。浮いたお金で、より質の高いウィッグを買ったり、衣装のクオリティを上げたりすることができますよね。
最後に一つだけ注意点をお伝えします。100均のプラスチック製品は、稀に製造時の「バリ(小さな突起)」が残っていることがあります。
これにウィッグが引っかかると繊維を傷めてしまうので、使用前に一度ケースの内側を指でなぞって確認し、もしバリがあればヤスリで削るかテープで覆うなどの処理をしてくださいね。
あなたの工夫次第で、100均アイテムは最強のウィッグ搬送ツールに変わります。ぜひ、次のイベントから試してみてください!