ガジェット

アップルウォッチ2はまだ使える?2025年の実用性と寿命

Apple公式サイトより引用

自宅の引き出しを整理していたら懐かしいApple Watch Series 2が出てきた、あるいはフリマアプリなどで激安で出品されているのを見かけて、これってまだ使えるのかなと気になったことはありませんか。

実は私自身も先日、久しぶりにSeries 2を充電してみたのですが、そこには想像以上のハードルが待っていました。2025年の現在、iPhoneとのペアリングやLINEの通知機能、そして私たちの日々の生活に欠かせないSuicaのチャージなどが問題なく行えるのかというと、正直なところかなり厳しい現実があります。

アップデートが止まってしまった機種を使い続けることのセキュリティリスクや、バッテリー交換にかかる費用対効果も含めて、このデバイスの現状を包み隠さずお話ししたいと思います。

  • アップルウォッチ2が現在の環境でどこまで機能するか
  • iOS 18など最新iPhoneとのペアリング問題の現実
  • 修理サポート終了に伴うリスクと経済的なデメリット
  • 買い替えを検討する際に選ぶべきおすすめのモデル

アップルウォッチ2はまだ使えるのか機能制限を解説

結論から言えば、時計として時刻を表示することは物理的に可能かもしれませんが、私たちが「スマートウォッチ」に求めている便利な機能の大半は、残念ながら正常に動作しないか、極めて制限された状態になっています。実際に私が検証した情報や、現在進行形で起きているトラブルをもとに、何ができて何ができないのかを具体的に見ていきましょう。

アップデートができない原因とサポート終了の現状

まず、すべての根本的な原因となっているのがOS(基本ソフト)の古さです。Apple Watch Series 2が対応している最終バージョンはwatchOS 6.3で止まっています。2025年現在はwatchOS 10や11が主流ですから、実に4〜5世代もの差が開いてしまっているんですね。

これは単に新しい文字盤が使えないといった見た目の問題だけではありません。iPhone側のiOSは毎年進化していますが、watchOS側が古いままだと、両者の間の「会話」が成り立たなくなってしまうんです。アプリの開発者も、基本的には最新のOSに合わせてアプリを作ったり更新したりするので、古いOSはどんどん切り捨てられていくのがデジタルの宿命です。

ここがポイント

watchOS 6.3以降、セキュリティパッチなどの更新も数年前に停止しています。これは家の鍵が壊れたまま放置されているような状態で、デジタルの世界では非常に無防備な状態と言えます。

LINEアプリが使えない問題と通知機能の限界

多くの人が真っ先に気にするのが「LINEは使えるの?」という点ではないでしょうか。私も仕事や家族との連絡でLINEは必須ですが、残念ながらSeries 2でのLINE利用はほぼ壊滅的と言わざるを得ません。

以前はApple Watch上にLINEアプリをインストールして、メッセージを見たり返信したりできましたが、LINE側が古いwatchOSへのサポートを終了しています。そのため、現在Series 2でできることは以下の点に限られます。

  • 通知の受信(ミラーリング): iPhoneにLINEが届いたとき、手首が震えて「誰からメッセージが来たか」と「冒頭の文章」を見ることは可能です。
  • 着信の通知: 電話がかかってきたことを知ることはできます。

できないこと

Apple Watchの画面上でアプリを開いて過去のトーク履歴を見たり、スタンプを選んで返信したり、音声入力でメッセージを送ったりすることはできません。アプリ自体が起動しないか、起動しても真っ白な画面のまま固まってしまうことがほとんどです。

つまり、「連絡が来たことに気づくためのブザー」としての役割しか果たせないと考えたほうが良いでしょう。

Suicaは使えるのかチャージや移行のリスク

Series 2は、Apple Watchとして初めてFeliCa(Suica)に対応した記念すべきモデルでした。しかし、これも2025年の今となっては「非常に危険な賭け」になってしまいます。

SuicaやPASMOといった交通系ICカードのシステムは、セキュリティ強化のために裏側のサーバーの仕様が頻繁に更新されています。古いwatchOS 6の環境からは、この最新のサーバーとうまく通信ができないケースが多発しているんです。

機能 Series 2での現状
改札の通過 既にカードが入っていれば可能な場合が多い
自販機での決済 既にカードが入っていれば可能な場合が多い
新規発行・取り込み エラーが多発しほぼ不可能
クレカでのチャージ 通信エラーで失敗する可能性大

特に恐ろしいのが、「iPhoneからSuicaを移行しようとしてエラーになり、電子マネーの残高が行方不明になる(サーバー退避エラー)」というトラブルです。また、一度初期化してしまうと、Apple IDとSuicaの紐付け確認ができず、再設定ができなくなるリスクもあります。「改札で止められるかもしれない」という不安を持ちながら使うのは、精神衛生上もあまりおすすめできません。

iPhoneとのペアリングができない無限ループ症状

「久しぶりに電源を入れたら、iPhoneとつながらない!」という悲鳴のような報告がネット上で溢れています。これは私も実際に検証しましたが、iOS 18などの最新iOSを搭載したiPhoneと、初期化状態のSeries 2をペアリングしようとすると、「無限ループ」と呼ばれる致命的な不具合が発生します。

  1. iPhoneがWatchを認識する。
  2. 「ソフトウェア・アップデートが必要です」と表示される。
  3. アップデートを実行しようとすると「確認できません」や「インターネットに接続されていません」とエラーが出る。
  4. ペアリングがキャンセルされ、最初に戻る。

この現象は、Appleの認証サーバーが古いOS向けの署名を正しく扱えない、あるいはiOS側のバグなどが原因と言われていますが、ユーザー側で対処できる方法はほとんどありません。運良くiOS 14や15などが入った「古いiPhone」を調達して、一度そこでアップデートを済ませてから…という裏技もありますが、そこまで手間をかける価値があるかというと疑問です。

バッテリー交換の費用と修理受付の終了状況

ハードウェアとしての寿命についても触れておきましょう。Apple製品には「オブソリート製品」という区分があり、販売終了から7年以上経過した製品はここに含まれます。Series 2は2024年から2025年にかけて、完全にこのリスト入りしました。

これが何を意味するかというと、Apple Storeや正規代理店ではもう修理を受け付けてくれないということです。バッテリーが膨張して画面が浮いてきても、バッテリーが1時間しか持たなくなっても、公式には「寿命です」と宣告されるだけです。

街の修理屋さんは?

非正規の修理店なら5,000円〜10,000円ほどでバッテリー交換してくれる場所もあります。しかし、後述するように中古市場での本体価値は数千円以下です。修理代の方が高くつく「トータルロス」の状態になっているのが現実です。

アップルウォッチ2がまだ使えるか判断する基準

ここまで機能面での制限を見てきましたが、それでも「通知さえ来ればいい」「壊れるまで使い倒したい」という方もいらっしゃるでしょう。では、具体的にどのような基準で「引退」を判断すべきか、私の視点で整理してみました。

いつまで現役で利用可能かセキュリティのリスク

もし、今現在奇跡的にiPhoneとペアリングが維持されていて、バッテリーも半日持つのであれば、「壊れるその日まで、設定を一切触らずに使う」のが唯一の正解です。

ただし、セキュリティのリスクは常に隣り合わせです。Apple Watchはヘルスケアデータや位置情報、通知内容など、極めてプライベートな情報を扱います。セキュリティ更新が止まったデバイスを腕に巻いているということは、脆弱性を突いた攻撃に対して無防備であることを意味します。特に、見知らぬWi-Fiネットワークへの接続などは避けたほうが賢明でしょう。

防水性能の劣化と水泳などでの利用可否

Series 2の最大の売りは「50メートル耐水」でした。これによって水泳でのトラッキングが可能になったわけですが、発売から9年近くが経過し、防水用のパッキンや接着剤は確実に劣化しています。

経年劣化で防水性能が失われている可能性が非常に高く、プールやシャワーで使った瞬間に内部浸水して即死、というケースも少なくありません。特にバッテリーがわずかでも膨張していると、目に見えない隙間ができているため、水回りで使うのは絶対にNGです。

中古での購入は危険?ジャンク品のリスクを解説

「アップルウォッチを試してみたいから」といって、メルカリやヤフオク!などで数千円のSeries 2を購入しようとしている方がいたら、私は全力で止めます。

前述した「ペアリングの無限ループ」問題があるため、初期化された中古品を購入しても、手持ちのiPhone(iOS 18など)と接続できず、ただの文鎮(ペーパーウェイト)になってしまう可能性が極めて高いからです。

中古購入のリスク

  • アクティベーションロック: 前の持ち主のIDが残っていて使えないトラブルが多発。
  • 完全放電: 長期間放置されたバッテリーは充電すらできなくなっていることが多い。
  • ペアリング不可: 最新iPhoneでセットアップできない。

買い替えにおすすめなSE第2世代との性能比較

では、これからApple Watchを使いたい、あるいは買い替えたいという場合はどうすればいいでしょうか。コストパフォーマンスを考えると、私は断然「Apple Watch SE(第2世代)」をおすすめします。

Series 2と比べると、まるで軽自動車とスポーツカーくらいの違いがあります。

項目 Series 2 SE(第2世代)
チップ性能 S2(動作が重い・カクつく) S8(サクサク快適)
OSサポート 終了(watchOS 6) 継続中(最新OS対応)
安全機能 なし 転倒検出・衝突事故検出
ディスプレイ ベゼルが太い 表示領域が30%以上広い

SE(第2世代)なら、新品でも3万円台半ば、中古なら2万円台から手に入ります。LINEも快適に使えますし、Suicaの反応速度も段違いです。何より、セキュリティアップデートが提供されている安心感は代えがたいものがあります。

結論としてアップルウォッチ2はまだ使えるのか

長年ガジェットを見てきた私の結論としては、Apple Watch Series 2は「2025年において実用的な道具としての役割を終えた」と言わざるを得ません。

「まだ動く」ことと「快適に使える」ことは別問題です。ペアリングのトラブルやアプリの非対応、そしてセキュリティのリスクを冒してまで使い続けるメリットは、残念ながらほとんど残っていません。もしお手元にSeries 2があるなら、それはデジタル遺産として大切に保管するか、あるいはリサイクルに出して、新しいApple Watch体験へとステップアップする良い機会なのではないでしょうか。

新しいモデルに変えた瞬間、「こんなに便利だったのか!」と驚くことは間違いありません。安全で快適なデジタルライフのために、賢い選択をしていただければと思います。

-ガジェット