
Pixioのモニターアームを購入して意気揚々と設置したものの、いざモニターを取り付けてみるとアームが動かない、あるいは思った位置で止まらずに高さ調整ができないといったトラブルに直面して困っていませんか。
せっかく高機能な製品を選んだのにアームが勝手に上がるとか、逆に重さに負けてモニターが下がらないという状況だと、もしかして初期不良なんじゃないかと疑いたくもなりますよね。
特にPS2Sのような大型で耐荷重の大きいモデルだと、開封直後のアームが硬いし全く動かないので焦る気持ちは痛いほど分かります。
でも安心してください。 実はその現象、故障ではなくガス圧調整の仕組みやネジを回す方向を正しく理解して対処すれば解決できることがほとんどなんです。
私自身も最初は説明書の図解だけでは理解しきれず戸惑いましたが、構造上のコツさえ掴めば誰でも快適なデスク環境を手に入れられますよ。 この記事ではPixioモニターアームに関する高さ調整できない問題を、実体験を交えながら徹底的に解説します。
- ガススプリング式アームが「動かない」と感じる物理的な原因と仕組み
- モデルごとの特性を理解し、自分のモニターに合った適切な調整を行う方法
- 「時計回り」か「反時計回り」かで混乱しやすいネジ調整の正解
- 高さだけでなく角度調整や揺れ対策まで含めた完全なセットアップ手順
Pixioモニターアームの高さ調整できない原因とは

せっかく導入したPixioのモニターアームが、期待通りに動いてくれない。そのストレスは計り知れませんよね。「不良品を引いてしまったのか?」と疑う前に、まずはこのモニターアームという製品が、どのような原理で動いているのかを少しだけ深掘りしてみましょう。
実は、「高さ調整ができない」と感じるケースの大半は、製品の故障ではなく、「ガス圧(反発力)とモニター重量のバランス」が取れていない状態にあります。これを理解するだけで、解決への道筋がぐっと明確になります。
アームが勝手に上がる時の対処法
モニターを取り付けた瞬間に、アームがビヨーンと一番高い位置まで跳ね上がってしまい、下に押し下げてもすぐに戻ってしまう。これが「アームが勝手に上がる」現象です。
この現象は、物理的に言うと「モニターの重さよりも、アーム内部のガススプリングの反発力の方が強い」状態です。Pixioのアーム、特にPS2Sのようなモデルは、かなり重いモニター(ウルトラワイドなど)を支えることを想定して、出荷時には強力なガス圧が充填されていることが多いんです。
ここがポイント
アームが勝手に上がるのは、アームが「元気すぎる(ガス圧が強すぎる)」証拠です。決して壊れているわけではありません。
対処法としては、シンプルに「ガス圧を弱める」作業が必要です。後述する調整ネジを使って、内部の圧力を抜いてあげるイメージですね。軽いモニター(例えば24インチの軽量モデルなど)を使っている場合、出荷時の設定では強すぎて、手で押さえつけていないと常に上を向いてしまう、なんてことがよく起こります。
「こんなに硬くて大丈夫?」と思うくらい反発力が強いこともありますが、それは仕様です。慌てずに、まずは「アームが勝っている状態なんだな」と認識しましょう。
モニターが下がらない原因と対策
「モニターが下がらない」という検索キーワードで調べる方も多いですが、これは上記の「勝手に上がる」と同じ状況を指していることが多いです。アームを下げようとしても、ガス圧の力で押し返されてしまい、低い位置で固定できない状態ですね。
一方で、ごく稀に「一番下まで下がったまま、持ち上がらない」という逆のパターン(沈み込み)もありますが、ここでは「高い位置から下がらない」ケースについて掘り下げます。
原因はやはりガス圧過多です。ここで重要なのは、モニターアームは「特定の位置でロックする」機械ではなく、「モニターの重さとガスの力が釣り合った場所で静止する」という天秤のような仕組みだということです。
注意点
「下がらない」からといって、アームを力任せに叩いたり、体重をかけすぎて無理やり曲げようとしたりするのは避けてください。内部の機構を痛める可能性があります。
対策としては、やはり調整ネジを回してバランスを取ることになりますが、ここで多くの人が躓くのが「どっちに回せばいいの?」という問題です。これについては後半の手順で詳しく解説しますが、まずは「モニターが軽すぎるため、アームの力に負けている」という構図を理解してください。
アームが硬い・動かない時の解決策
「高さ調整以前に、アームの関節がガチガチに硬くて動かない!」という声もよく耳にします。特に新品のPixio製品を開封した直後によくある感想です。
これには2つの理由があります。
- スティクション(初期摩擦): 新品の機械部品は、内部のグリスやパッキンが馴染んでおらず、動き出しに非常に大きな力が必要な場合があります。これを「スティクション」と呼びます。
- 高耐荷重設計の弊害: 重いモニターを支えるために、関節部分の締め付けがあらかじめ強く設定されている場合があります。
解決策としては、「慣らし動作(ブレークイン)」を行うことが有効です。モニターを取り付けた状態で(ここが重要です)、アームを一番上から一番下まで、可動域いっぱいに数回往復させてみてください。最初は「壊れるんじゃないか?」と怖くなるほど硬いかもしれませんが、数回動かすことで内部の潤滑油が行き渡り、驚くほどスムーズに動くようになります。
私の経験談
私もPS2S Titanを初めて導入した時、アームを曲げるのにかなりの力が必要で冷や汗をかきました。でも、思い切ってグイグイと動かしているうちに、スーッと動くようになったんです。機械にも準備運動が必要なんですね。
PS2Sなどモデルによる違い
Pixioのモニターアームには、いくつかの主要モデルがあります。自分が使っているモデルがどれなのかによって、「動かない」原因のニュアンスが少し異なります。
| モデル名 | シリーズ | 主な特徴 | よくあるトラブル傾向 |
|---|---|---|---|
| PS1S / PS1D | Wave | スタンダード | 標準的な硬さ。一般的な24-27インチモニターなら調整しやすい。 |
| PS2S / PS2D | Titan | ヘビーデューティー | 非常に強力。軽量モニターだと跳ね上がりが強烈。調整に力が要る。 |
特に注意が必要なのが、PS2S(Titanシリーズ)を使用している場合です。このモデルは、最大で18kg近い重量級モニターや、49インチクラスのスーパーウルトラワイドモニターを支えるために設計されています。
そのため、もしあなたが3kg〜4kg程度の軽量なモニターをPS2Sに取り付けているとしたら、ガス圧を「限界近くまで弱める」必要があります。普通の調整範囲では全く下がらないほどバネが強いので、ネジを回す回数も桁違いに多くなることを覚悟してください。「どれだけ回しても変わらない!」と思っても、それはまだ調整範囲の途中である可能性が高いのです。
ガス圧調整の仕組みを理解する
ここまで「ガス圧」という言葉を繰り返してきましたが、この仕組みをイメージできると調整が楽しくなります。
モニターアームの内部には、自動車のトランクのドアを支えているような「ガスシリンダー」が入っています。中には高圧の窒素ガスとオイルが封入されています。
- アームを下げる動作: シリンダー内のガスを圧縮しています。
- アームを上げる動作: 圧縮されたガスが膨張する力を利用して持ち上げています。
つまり、私たちがやろうとしている「調整」とは、ネジを回すことでシリンダーのエアーバルブのようなものを操作し、「ガスの反発力をモニターの重さとイコールにする」作業なのです。
この均衡(バランス)が取れた時だけ、モニターはまるで無重力空間にあるかのように、指一本で動かしてピタッと止まる「フローティング状態」になります。高さ調整ができない状態とは、この天秤がどちらかに大きく傾いている状態に他なりません。
Pixioモニターアームの高さ調整できない時の手順

原因がわかったところで、いよいよ実践編です。「Pixio モニターアーム 高さ調整できない」問題を解決するための具体的なステップを解説します。ここでは、最も混乱しやすい「ネジの方向」について明確な答えを提示します。
六角レンチでの正しい調整方法
まず、製品に付属している六角レンチ(アレンキー)を用意してください。通常、大小2種類入っていると思いますが、高さ調整(ガス圧調整)に使うのは「大きい方」のレンチです。
調整ネジ(ボルト)の場所はモデルによって多少異なりますが、基本的にはアームの「第二関節(肘にあたる部分)」の上面、または背面にあります。アームを上から覗き込んだ時に見える穴がそれです。
作業時のコツ
調整を行う際は、アームを「水平」の状態に保つのがベストです。アームが跳ね上がった状態のままだと、内部の構造上、ネジが回しにくかったり、調整の効果が分かりにくかったりします。片手でアームを水平に押し下げながら、もう片方の手でレンチを回しましょう。
ネジを回す方向と回数の目安
ここが今回の記事で最も重要なパートです。多くのユーザーがここで逆回しをしてしまい、「直らない!」と嘆いています。
Pixioのアーム(および多くのガス圧アーム)には、調整穴の近くに「+(プラス)」と「-(マイナス)」の記号と矢印が刻印されています。この記号を信じてください。
- アームが勝手に上がる(強すぎる)場合: ガス圧を弱める必要があります。 → 「-(マイナス)」方向へ回します。
- アームが勝手に下がる(弱すぎる)場合: ガス圧を強める必要があります。 → 「+(プラス)」方向へ回します。
そして、ここからがややこしいのですが、Pixio製品の多くにおいて、「-(マイナス)」方向への回転は【時計回り(右回し)】であることが多いです。 普通のネジは「右に回すと締まる(強くなる)」という常識がありますが、ガス圧調整ネジに関しては「右に回すとガス圧が弱くなる(緩む)」という逆の挙動をするモデルが多いのです。
絶対に確認すること
「時計回り」という言葉だけで判断せず、必ずアーム本体に刻印されている矢印の方向を目視してください。モデルの生産時期によって仕様が異なる可能性もゼロではありません。
そして「回す回数」ですが、1回や2回クルッと回した程度では何も変わりません。ガスシリンダーの圧力は非常に高いため、変化を実感するには10回、20回、場合によってはそれ以上回し続ける必要があります。「こんなに回してネジが外れない?」と不安になるくらい回して初めて、アームがスッと動くようになります。
モニターがお辞儀する時の直し方
「高さ」は決まったけれど、今度はモニターの画面がお辞儀をするように下を向いてしまう(チルト角が維持できない)。これもよくある悩みです。
これはガス圧(高さ調整)とは全く別の問題です。モニターを取り付けているプレート(VESAマウント)のすぐ裏側にある、別のボルトを調整する必要があります。
ここには摩擦力を生むための構造があり、モニター、特に重心が前方にある湾曲モニターなどは、強いトルクで締め付けないと角度を維持できません。
対処法はシンプルに「チルト調整ボルトを力一杯締める」ことです。付属のレンチを使って、モニターが動かなくなるまで締め込んでください。時には、「一度ボルトを緩めて、モニターを少し上向きに保持した状態で、再度締め直す」というテクニックも有効です。
モニター取り付け前の調整は不可
これは初心者が陥る最大の罠と言っても過言ではありません。 「モニターを取り付ける前に、アームの硬さを確認しようとして動かない」というケースです。
はっきり言います。モニターを取り付けていない状態で、アームを手で押し下げることはほぼ不可能です。
ガススプリングのアームは、モニターという「重り」が先端につき、テコの原理が働いて初めて人間の力で動かせるように設計されています。モニターなしで動かないのは、正常な状態です。「硬すぎて動かないから不良品だ」と判断して返品してしまう前に、まずは騙されたと思ってモニターをネジ止めしてみてください。驚くほど簡単に動くはずです。
物理の話
支点(関節)からの距離が長いほど、小さな力で動かせます。モニターを付けることでアームの全長が有効に使いやすくなり、テコの原理が最大限に発揮されるのです。
揺れる場合の対策と固定確認
高さ調整ができても、キーボードを打つたびに画面がユラユラ揺れてしまっては集中できません。「Pixio モニターアーム 揺れる」という検索も多いですね。
揺れの原因は主に以下の2点です。
- ガス圧のバランスが拮抗しすぎている: 完全に無重力状態だと、外部からの振動に敏感になります。ほんの少しだけガス圧を「強め(プラス方向)」にして、意図的な抵抗を作ると安定することがあります。
- デスククランプの固定不足: 机の天板が薄かったり、強度が不足していたりすると、アームの根元から揺れてしまいます。
もし天板が薄い場合は、「補強プレート」を挟むことを強くお勧めします。アームと机の接触面積が広がり、ガッチリと固定されるため、揺れが劇的に改善します。
Pixioモニターアームの高さ調整できない問題を解決
最後にまとめです。Pixioのモニターアームで高さ調整ができない時、焦る必要はありません。以下のチェックリストを順に確認してみてください。
トラブルシューティング・チェックリスト
- まずモニターを確実に取り付けたか?(空の状態では動かない)
- アームが勝手に上がるなら「-(マイナス)」方向へ回したか?(多くは時計回り)
- アームが下がるなら「+(プラス)」方向へ回したか?(多くは反時計回り)
- ネジを回す回数は足りているか?(10回〜20回以上回す覚悟で)
- PS2Sなどの大型モデルの場合、軽量モニターに対してガス圧が強すぎないか?
- 新品特有の硬さ(スティクション)を取るために、大きく動かして慣らしたか?
Pixioのアームは、一度設定が決まってしまえば、非常に快適で自由度の高いデスク環境を提供してくれます。特にそのコストパフォーマンスの高さは魅力的です。
「動かない!」と思ったその硬さは、大切なモニターを何年にもわたって支え続けるための「頼もしさ」の裏返しでもあります。ぜひ、じっくりと調整を行って、あなただけの最適なポジションを見つけ出してくださいね。もしどうしても解決しない場合は、公式のサポートに問い合わせるのも手ですが、その前にこの記事の手順をもう一度だけ、試してみる価値はあるはずです。
正しい知識があれば、モニターアームはあなたの作業効率を爆上げしてくれる最高の相棒になりますよ。