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モニター中古はやめたほうがいい?5つの致命的リスクと新品の正解

パソコンの周辺機器を揃える際、少しでも出費を抑えたいと考えるのは当然のことです。

特にディスプレイは新品で買うとそれなりの金額になるため、フリマアプリやリサイクルショップでモニターの中古はやめたほうがいいのか、それともお買い得なのかと悩んで検索される方は非常に多いですね。

私自身、昔はよく中古ショップを巡って掘り出し物を探していたので、その気持ちは痛いほど分かります。

しかし、技術の進歩や市場価格の変化を肌で感じている今の私からすると、モニターに関しては中古を選ぶメリットがほとんどなくなってしまったと言わざるを得ません。

モニターの中古はやめたほうがいいと言われる背景には、単なる気分の問題ではなく、バックライトの寿命や内部部品の劣化といった物理的な寿命、そして新品価格の破壊的な下落という経済的な事情が複雑に絡み合っているからです。

この記事では、なぜ今中古モニターをおすすめしないのか、その理由を包み隠さずお話しします。

  • カタログスペックには表れないバックライトや内部基板の深刻な劣化リスク
  • 一見きれいに見えても避けられない画面の焼き付きやドット抜けの現実
  • フリマアプリやオークションサイトに潜むトラブルや保証の落とし穴
  • 数千円の差なら新品を買ったほうが圧倒的にコスパが良いという経済的根拠

モニターの中古はやめたほうがいい物理的理由

モニターというデバイスは、CPUやメモリといった半導体パーツとは少し性質が異なります。どちらかと言えば「電球」や「タイヤ」に近い、消耗品としての側面を強く持っているんですね。

「映ればいい」と考えがちですが、内部では私たちが気づかないうちに物理的なカウントダウンが進んでいます。ここでは、なぜエンジニア視点でモニターの中古はやめたほうがいいと断言できるのか、その内部構造に潜む劣化メカニズムについて解説します。

バックライトの寿命と耐用年数の現実

中古モニター最大のリスク、それは「光の劣化」です。モニターの画面が明るく見えるのは、液晶パネルの後ろにある「バックライト」が発光しているからなのですが、この部品には明確な寿命があります。

現在主流のLEDバックライトは、一般的に約3万〜5万時間の寿命があると言われています。「そんなに持つなら中古でも大丈夫じゃない?」と思われるかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。メーカーが定義する寿命とは「点灯しなくなるまでの時間」ではなく、「輝度(明るさ)が新品時の50%に落ちるまでの時間」を指すことがほとんどなんです。

注意:輝度半減の意味 輝度が半分になったモニターは、明るいオフィスや日中の室内では非常に暗く感じられ、視認性が著しく低下します。無理に見ようとすると眼精疲労の原因にもなります。

例えば、企業のリースアップ品などで市場に出回る中古モニターは、毎日8時間以上、5年近く稼働しているケースが珍しくありません。計算すると約1万時間を超えている計算になります。数値上はまだ使えても、実際にはLED素子が熱変性を起こしており、全体的に画面が黄色っぽくなっていたり、四隅が暗くなっていたりすることが多々あります。

さらに古い「CCFL(冷陰極管)」方式のモニターだと、寿命はもっと短く、チラつき(フリッカー)が発生しやすいという健康上のデメリットもあります。外見の綺麗さだけでは、この「光の鮮度」までは判断できないのが怖いところですね。

画面の焼き付きとドット抜けのリスク

次に見逃せないのが、液晶パネルそのものの劣化です。特に「焼き付き」は有機ELだけの問題だと思われがちですが、実はIPSやVAといった一般的な液晶パネルでも起こり得ます。

前の持ち主がどのような使い方をしていたかは、中古品を見るだけでは分かりません。例えば、店舗の防犯カメラのモニターとして24時間同じ枠線を表示し続けていたり、オフィスのPCでタスクバーを何千時間も表示させていたりした場合、その「影」がうっすらと焼き付いて残ってしまうことがあります。

そしてもう一つ、非常に厄介なのが「ドット抜け(画素欠け)」の進行です。

ドット抜けとは? 画面上の小さな点が常に黒く表示されたり(黒点)、逆に赤や緑に光り続けたり(輝点)する現象です。

新品であれば初期不良として交換対象になることもありますが、中古の場合は「数個のドット抜けは仕様の範囲内」「経年劣化」として、保証の対象外とされることが一般的です。いざ家に持ち帰って動画を見たら、画面の真ん中に消えない赤い点がずっと光っている……なんてことになったら、気になって作業どころではありませんよね。

失敗の原因となる電源コンデンサの劣化

私が個人的に最も恐れているのが、この「電源ユニット」の故障です。モニターが壊れる原因のナンバーワンと言っても過言ではありません。

モニターの内部には、交流電気を直流に変換するための電源基板が入っています。ここには「アルミ電解コンデンサ」という部品が大量に使われているのですが、この部品は熱に弱く、時間の経過とともに内部の電解液が蒸発して劣化していきます。これを業界用語で「容量抜け」と呼んだり、膨らんでしまうことを「妊娠」と呼んだりします。

コンデンサが劣化すると、以下のような症状が現れます。

  • 電源ボタンを押してもなかなか画面がつかない
  • 使用中に突然画面がブラックアウトする
  • 「ジーー」「キーン」という高周波ノイズ(コイル鳴き)がする

製造から7年以上経過した中古モニターは、このコンデンサが寿命ギリギリの状態であることが多いです。お店で動作確認した時はたまたま動いたとしても、自宅で使い始めた途端に寿命を迎えて電源が入らなくなる、いわゆる「時限爆弾」を抱えているようなものなのです。

安い中古品にある当たり外れの罠

中古市場には「当たり」と「外れ」が激しく混在しています。これが中古モニター選びをギャンブルにしてしまう要因です。

例えば、同じ型番のモニターが並んでいたとしても、片方は「空調の効いた綺麗なオフィスで週に数回会議に使われていただけの良品」かもしれませんし、もう片方は「ホコリまみれの倉庫で24時間365日サーバー監視用として酷使された疲弊品」かもしれません。

しかし、クリーニングされて店頭に並べば、見た目の区別はほとんどつかないのです。

外見では判断できない内部ダメージ タバコのヤニによる基板の腐食や、湿気による内部錆などは、分解しない限り確認できません。

特にオンライン通販で実物を見ずに購入する場合、この「個体差」のリスクを全て買い手が負うことになります。「美品」と書かれていても、あくまでショップ側の主観であり、あなたの期待する品質とはかけ離れている可能性があるのです。

どこのメーカーでも起きる経年劣化

「EIZO(ナナオ)のような高級国産メーカーなら丈夫だから中古でも大丈夫では?」という質問をよくいただきます。確かにEIZOのモニターは品質が高く、作りもしっかりしていますが、物理法則には逆らえません。

どれほど良い部品を使っていても、バックライトのLEDは消耗しますし、液晶パネルの色ムラも経年で発生します。

むしろ、プロフェッショナル向けのモニターこそ、デザイン事務所や写真館などで長期間ハードに使われていた可能性が高く、稼働時間が1万時間を軽く超えているケースがザラにあります。

実は、DellやBenQ、HPなどの一部のモニターには、通常のメニュー画面には出てこない「サービスメニュー(ファクトリーメニュー)」という隠し画面が存在し、そこで総稼働時間(Total Power On Time)を確認できることがあります。

メーカー 一般的な確認方法の例(機種による)
Dell 電源OFF時、特定のボタン(左から1番目と2番目など)を押しながら電源ON
BenQ MENUボタンを押しながら電源ONし、その後MENUを押す
HP メニュー内の「Information」タブに表示されることが多い

※上記は一例であり、機種によって操作方法は異なります。また、設定を誤ると故障の原因になるため推奨はしません。

中古ショップでここまで確認させてくれる店は稀ですが、こういった数値を見なければ本当の状態は分からないというのが、モニターという製品の難しさなのです。

経済面でもモニターの中古はやめたほうがいい

ここまで物理的なリスクをお話ししましたが、実は私がモニターの中古はやめたほうがいいと主張する最大の理由は「経済合理性」にあります。

一言で言えば、今の市場環境において「中古はお得ではない」のです。新品の価格破壊が進んだ結果、中古品を選ぶ金銭的メリットは極めて薄くなっています。

ゲーミングモニターの中古購入リスク

最近はPCゲームの人気に伴い、144Hzや240Hzといった高リフレッシュレートのゲーミングモニターを中古で探す方も増えています。

しかし、ゲーミングモニターの中古こそ、最も警戒すべきカテゴリです。

ゲーマーの使い方は、一般的なオフィス用途とは比較にならないほど過酷です。

長時間連続での高負荷駆動はもちろん、FPSゲームなどで画面の明るさを極限まで上げたり(Black eQualizer等の機能)、彩度を高く設定したりして酷使されている傾向があります。

また、ゲーミングモニターは進化のスピードが非常に速いジャンルです。2〜3年前のハイエンドモデルよりも、今の最新エントリーモデルの方が、液晶の応答速度(GtG)が速く、残像感が少ないということが頻繁に起きます。「昔の高価なモデル」を中古で買うより、「今のそこそこのモデル」を新品で買う方が、ゲームを快適にプレイできる可能性が高いのです。

メルカリ等で購入する際のデメリット

フリマアプリやネットオークション(C2C取引)でのモニター購入は、まさに「地雷原」を歩くようなものです。最大の問題は「梱包」と「輸送事故」です。

モニターの液晶面は非常にデリケートで、少しの衝撃でも割れてしまいます。メーカー純正の箱と発泡スチロールがあれば良いのですが、個人の出品者はそれらを捨ててしまっていることが大半です。結果、薄いプチプチと適当なダンボールで巻いただけの状態で発送され、到着したら画面がバキバキに割れていた……というトラブルが後を絶ちません。

「ジャンク扱い」の罠 「動作未確認」「ジャンク」として出品されているものの多くは、出品者が不具合を認識した上で、クレームを避けるためにそう記載している確信犯的なケースが少なくありません。

また、個人間取引では「ノークレーム・ノーリターン(NCNR)」が暗黙の了解となっており、ドット抜けや色味の異常があっても返品返金に応じてもらうのは至難の業です。

専門店で購入する場合の注意点

では、じゃんぱらやドスパラ、ハードオフといった中古パソコン専門店なら安心でしょうか? 確かに個人売買よりは遥かにマシです。動作確認もされていますし、店舗独自の保証も付いています。

しかし、それでも私はおすすめしません。なぜなら、価格的な旨味が少なすぎるからです。

専門店でまともな状態の24インチフルHDモニターを買おうとすると、だいたい6,000円〜9,000円程度の値札が付いています。これに送料や、もしものための延長保証をつけたらどうなるでしょうか? 実質1万円近くになってしまいますよね。後述しますが、あと2〜3千円出せば新品が買えてしまうのです。

また、店舗の保証期間は通常1週間〜1ヶ月程度です。新品のモニターには「メーカー3年保証」が付いていることが一般的であることを考えると、この安心感の差は金額換算できないほど大きいと言えます。

コスパ最強の新品モデルがおすすめ

ここ数年で、モニター市場の価格相場は劇的に変わりました。Xiaomi(シャオミ)、KOORUI、JAPANNEXTといった新興メーカーの台頭、そしてDellやHPの価格競争により、新品のエントリーモデルが驚くほど安くなっています。

具体的には、Amazonのセール時などを狙えば、以下のようなスペックの新品モニターが11,000円〜13,000円程度で購入可能です。

  • 画面サイズ:23.8インチ
  • パネル:IPS(視野角が広く発色が綺麗)
  • 解像度:フルHD(1920x1080)
  • リフレッシュレート:100Hz(一般的な60Hzより滑らか)
  • 保証:メーカー3年保証

中古の6,000円のモニター(5年落ち、TNパネル、保証なし)と、新品の11,000円のモニター(最新IPSパネル、3年保証)。その差額はわずか5,000円です。

5,000円をケチって、いつ壊れるか分からない、画面が黄色っぽい中古品を使うリスクとストレスを考えてみてください。新品を買えば、最新の美しい画面で、しかも3年間は故障におびえることなく使えるのです。どちらが「賢い買い物」かは火を見るよりも明らかではないでしょうか。

結論はモニターの中古はやめたほうがいい

長々と語ってきましたが、私の結論は揺るぎません。「特殊な事情がない限り、モニターの中古はやめたほうがいい」です。

特殊な事情とは、例えば「今すぐ10台必要だが予算が絶対的に足りない」「廃盤になったスクエア型のモニターがどうしても必要」「サーバー室でたまに文字が見えればいいだけ」といったケースです。

そうでない一般的なPCユーザー、特にメインモニターとして探している方にとっては、中古品はリスクに対するリターンが見合いません。

最後に、忘れてはいけないのが「処分のコスト」です。モニターは家電リサイクル法やPCリサイクル法の対象であり、粗大ゴミとして簡単に捨てられない自治体がほとんどです。

捨てるのにもお金がかかる 万が一、安く買った中古モニターがすぐに壊れてしまった場合、それを処分するために3,000円〜4,000円程度のリサイクル料金がかかることがあります。(出典:一般社団法人 パソコン3R推進協会『ディスプレイの回収・リサイクル』

「安物買いの銭失い」になるだけでなく、処分する手間と費用まで発生しては目も当てられません。

もし今、あなたが中古モニターの購入を迷っているなら、私は声を大にして言いたい。「もう少しだけ頑張って、新品を買いましょう」と。最新の新品モニターは、ベゼル(枠)も細くてスタイリッシュですし、目にも優しい機能が満載です。その投資は、あなたの毎日のPCライフを間違いなく快適にしてくれるはずですよ。

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